障害年金とは
障害年金とは
国が運営する公的年金制度のひとつです。
「年金」といえば、最初に思い浮かべるのは老後に受け取ることができる「老齢年金」かも知れません。
国が運営する公的年金制度は、その他に家族の死亡により生活が困る方に対して「遺族年金」、そして障害をお持ちの方への「障害年金」があります。
障害年金は、公的年金のひとつで、毎月一定額の保険料を納めることで、もしものときをカバーしてもらう制度です。
国が運営する制度ですから、みなさんが加入することになっています。障害に関する等級は1~3級に分かれており、認定されるとその等級に応じて計算された年金が支給されます。
障害年金は、障害の状態になったら自動的に支給される訳ではなく、請求手続をしないと支給されることはありません。障害年金制度を知らないがために、支給されていない方も大勢いらっしゃいます。
障害年金は、自分自身を守ってくれる大切な制度です。
障害年金の種類
障害年金には大きく分けて3種類があります。
障害年金は、その障害の原因となった病気やケガについての初診日(初めて医師または歯科医師の診察を受けた日)にどの年金制度に加入していたかにより、申請できる障害年金の種類が決まります。
【障害基礎年金】
①初診日において、自営業者や専業主婦、学生等が加入する国民年金であった場合
②(年金制度に加入する前の)20歳前の病気やケガにより障害の状態になった場合
③国民年金に加入したことのある方で、60歳~65歳未満の間に初診日のある病気やケガで障害の状態になった場合
【障害厚生年金】
初診日において、民間企業などが加入する厚生年金の被保険者であった場合
【障害共済年金】
初診日において、公務員などが加入する共済組合の組合員であった場合
※2015年10月1日から被用者年金の一元化により、障害厚生年金となりました。
年金受給額
障害年金は、それぞれの種類によってもらえる金額が異なります。
障害基礎年金
●67歳以下の場合
1級 | 816,000×1.25=1,020,000円 (子の加算がある場合はさらに加算額あり) |
2級 | 816,000円(子の加算がある場合はさらに加算あり) |
※障害基礎年金は定額です。1級は2級の1.25倍です。
●68歳以上の場合
1級 | 813,700×1.25=1,017,125円 (子の加算がある場合はさらに加算額あり) |
2級 | 813,700円(子の加算がある場合はさらに加算額あり) |
※障害基礎年金は定額です。1級は2級の1.25倍です
●子の加算額
1人目・2人目の子 | (1人につき)234,800円 |
3人目以降の子 | (1人につき)78,300円 |
※子の加算額に該当する子は、次の者に限ります。
・18歳の年度末(高校を卒業する年齢)までの子
・障害等級1級または2級の障害状態にある20歳の誕生日に属する月までの子
障害厚生年金
●67歳以下の場合
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 (+配偶者がある場合はさらに加算あり) |
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2級 | 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 (+配偶者がある場合はさらに加算あり) |
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3級 | 報酬比例の年金額(最低保障額 612,000円) | |
障害手当金(一時金) | 報酬比例の年金額×2年分(最低保障額 1,224,000円) |
●68歳以上の場合
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級 (+配偶者がある場合はさらに加算あり) |
2級 | 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級 (+配偶者がある場合はさらに加算あり) |
3級 | 報酬比例の年金額(最低保障額 610,300円) |
障害手当金(一時金) | 報酬比例の年金額×2年分(最低保障額 1,220,600円) |
●配偶者の加算額
配偶者の加算額 | 234,800円 |
障害厚生年金の額は、厚生年金に加入していた期間や給与の額(払っていた保険料の額)などで異なります。
2級の障害厚生年金の報酬比例年金の計算は、老齢厚生年金と同じ計算をします。
1級の障害厚生年金の報酬比例年金の額は2級の1.25倍です。
なお、若くして障害を負ってしまい厚生年金の加入期間が短い方は年金額が低くなってしまうことがあります。そのため、加入月数が300月未満のときは、300月として計算します。
また、3級の場合には、年金額が低くなりすぎないように最低保障額が設けられています。
対象となる傷病
障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害などの外見で分かる障害をイメージされがちです。「うつ病、統合失調症」等の精神疾患や「がん」等の内部疾患では受給できないと思われる場合も多いようです。
しかし、障害年金の対象になる病気やケガについては特に限定されていません。また、人工透析、心臓ペースメーカー、人工関節、人工肛門などを装着した場合は、働いていても対象になります。
障害年金の対象となる傷病の一部についてご紹介していますのでご覧ください。
しかし、同じような症状でも傷病名によっては対象外とされることもありますので、注意が必要です。
目
白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球萎縮、網膜色素変性症、 両人工的無水晶体眼、糖尿病性網膜症、脳腫瘍など
聴覚
メニエール病、感音性難聴、突発性難聴、頭部外傷または音響外傷による内耳障害など
鼻腔機能
外傷性鼻疾患など
そしゃく・嚥下機能
舌がんなど
言語機能
喉頭摘出術後遺症、上下顎欠損、上顎がん、喉頭腫瘍、脳血栓など
肢体
脳卒中、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、くも膜下出血、分娩麻痺、痙性対麻痺、多発性硬化症、パーキンソン病、重症筋無力症、関節リウマチ(人工関節)、脊髄損傷、進行性筋ジストロフィー、脊椎管狭窄症、変形性股関節症、大腿骨骨頭壊死、糖尿病壊疽、骨肉腫、膠原病など
精神の傷病
統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、てんかん、高次脳機能障害、発達障害、知的障害、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、若年性認知症 など
(神経症は原則として対象とならないが、精神病の病態を示しているものについては、うつ病等に準じて取り扱う)
呼吸器疾患
気管支ぜんそく、慢性気管支炎、肺線維症、肺結核、じん肺、膿胸など
心疾患・高血圧
狭心症、心筋梗塞、心筋症、人工弁疾患、ペースメーカー疾患、大動脈解離、高血圧性心疾患、悪性高血圧症など
腎疾患
慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、人工透析など
肝疾患
肝硬変、肝がん、多発性肝膿瘍など
糖尿病
糖尿病、糖尿病性と明示されたすべての合併症など
その他の部位
悪性新生物(がん)、乳がん、胃がん、子宮頸がん、膀胱がん、直腸がん、HIV感染症、人工肛門、再生不良性貧血、白血病、その他難病など